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MARTIN ACOUSTIC STORY

現代のアコースティックギターへ続くMartinの歴史とスタイル

受け継がれてきた構造と数字には、
一本の個性を読み解く手がかりがあります。

基準をつくり時代に合わせて育ててきた。

Martinのギターは、端正で無駄のない外観と、音の粒が見えやすいバランスのよい響きで知られています。小さなボディが持つ繊細な反応から、ドレッドノートの豊かな音量まで、その個性はボディサイズとスタイル番号の組み合わせによって整理されています。

「D-28」のDはボディサイズ、28は木材や装飾を含むスタイルを表します。この仕組みを知ると、モデル名が単なる記号ではなく、そのギターがどのような設計思想を持つのかを読み解く入口になります。

ここでは、1833年の創業から現在までの歩みと、0、00、000、OM、Dという主なボディサイズ、15、18、28、35、40番台のスタイル、そして代表モデルの特徴を紹介します。

Martinの歩み

1833

C. F. Martin Sr.がニューヨークで創業

ドイツのマルクノイキルヒェンで生まれ、ウィーンでギター製作を学んだクリスチャン・フレデリック・マーティン1世は、1833年にアメリカへ渡り、ニューヨークで工房を開きました。

その後1839年にペンシルベニア州ナザレスへ拠点を移します。家族によって技術と考え方を受け継ぐものづくりは、ここから長く続いていきます。

1840s–50s

Xブレーシングの発展

Martinはギター内部の力木をX字に交差させる構造を発展させました。トップを支えながら振動を引き出し、のちに張力の強いスチール弦を受け止めるうえでも重要な基礎となります。

1916–31

ドレッドノートの誕生とMartinブランドでの展開

1916年、Martinは楽器販売会社ディットソン向けに大型のドレッドノートを製作しました。名称は当時の大型戦艦に由来します。

初期には大きすぎるとも受け止められましたが、バンドの中でも埋もれにくい音量と低音が求められる時代になると評価が変わり、1931年からMartin名義のDモデルが展開されました。

1929–34

OMと14フレット・ネックの広がり

1929年、バンジョー奏者ペリー・ベクテルの要望をきっかけに、14フレットでボディと接合するロングスケールのモデルが生まれました。これがOMの出発点です。

高いポジションへ手が届きやすい14フレット仕様は、ほかのボディサイズにも広がり、現代的なアコースティックギターの姿を形づくりました。

1930s

18と28、名機の基礎が整った時代

マホガニーのサイド&バックを用いた18スタイルと、ローズウッドを用いた28スタイルは、Martinを代表する二つの軸として定着します。

D-18、D-28、000-18、000-28など、現在まで続く代表モデルの基礎が整い、戦前期の個体は後世のギター製作に大きな影響を与えました。

1965

D-35の登場

D-35は、3ピースのローズウッド・バックを特徴として1965年に登場しました。D-28とは異なる外観と設計を持ち、豊かな低音と柔らかな広がりを好むプレイヤーに支持されています。

1976

HD-28が受け継いだ戦前の意匠

HD-28は、ヘリンボーンの装飾とスキャロップド・ブレーシングを採り入れ、戦前期のD-28を思わせる仕様を現代のラインナップへ戻したモデルです。

TODAY

伝統を基準に、現代へ

現在のMartinは、Standard Seriesを中心に歴史的なモデルを継承しながら、復刻仕様、ステージ向けモデル、新しい素材や製法を取り入れたシリーズも展開しています。

数字と文字でわかるボディサイズ

サイズが変わると、抱え心地だけでなく、音の立ち上がりや低音の量感も変わります。

01

0

CONCERT

小ぶりで反応が速く、音の輪郭をつかみやすいサイズ。軽いタッチやフィンガースタイルとも相性のよい存在です。

02

00

GRAND CONCERT

0より少し大きく、抱えやすさと音量のバランスに優れます。近い距離で自然に鳴る親密な響きが魅力です。

03

000

AUDITORIUM

低音から高音までまとまりがよく、伴奏にもフィンガースタイルにも対応しやすい万能なサイズです。

04

OM

ORCHESTRA MODEL

000に近いボディへロングスケールを組み合わせるのが基本。張りのある反応と明瞭な分離感を持ちます。

同じボディ表記でも、年代やシリーズによってスケール、ネック、ブレーシングなどの仕様は異なります。

スタイル番号が表すもの

末尾の数字は単純なグレードだけでなく、木材、装飾、受け継いできた設計の違いを示します。

15

Style 15

MAHOGANY CHARACTER

オール・マホガニーを中心とした簡素な外観と、温かく素直な響きが魅力。弾き手のタッチを近くに感じられます。

18

Style 18

SPRUCE & MAHOGANY

スプルーストップとマホガニーの組み合わせが基本。反応が速く、明るさと芯のある中音域を備えます。

35

Style 35

THREE-PIECE BACK

3ピース・バックが象徴。28スタイルとは異なる構造と外観を持ち、ふくよかで広がりのある響きを楽しめます。

40+

40番台

PEARL TRADITION

アバロンなどの華やかな装飾を備える上位スタイル。41、42、45と数字が進むにつれて、伝統的な意匠も豊かになります。

代表的なモデルと、その個性

ボディとスタイルの組み合わせから、それぞれの立ち位置が見えてきます。

01

D-18

DIRECT & RESPONSIVE

マホガニーらしい反応の速さと明瞭さを、大きなDボディで鳴らす定番。力強さの中に素直な抜けがあります。

03

HD-28

HERITAGE & OPENNESS

ヘリンボーン装飾とスキャロップド・ブレーシングが特徴。D-28を基礎に、より開放的な鳴りを求めたモデルです。

04

D-35

RICH LOW END

3ピース・バックが目を引くモデル。豊かで柔らかな低音と、包み込むようなコード感に個性があります。

05

000-18

COMPACT BALANCE

抱えやすい000ボディとマホガニーの軽快な反応を組み合わせ、歌の伴奏から繊細な演奏まで自然に寄り添います。

06

000-28

WARM & REFINED

000の扱いやすさにローズウッドの深みを加えたモデル。まとまりのよさと豊かな余韻を両立します。

07

OM-28

CLARITY & PROJECTION

各弦の分離がよく、ロングスケールらしい張りと伸びを持ちます。フィンガースタイルでも存在感を示します。

モデル別の詳しい歴史ページは、今後順次追加していきます。

型を知ると一本ごとの違いが見えてくる。

Martinのモデル名には、ボディサイズとスタイルという二つの情報が組み込まれています。しかし、同じD-28でも、製造年代によってブレーシング、ネック形状、使用材、細かな意匠は変化してきました。

数字や年式は、優劣を決めるためのものではありません。自分が求める音の立ち上がり、低音の量、抱え心地、ネックの感触へ近づくための手がかりです。

HEARTHICでは、歴史や仕様を踏まえながら、最終的にはその一本が現在どのように鳴り、どのような状態にあるかを大切にしてご紹介していきます。

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