在庫一覧

LG / B-25

SMALL BODY

1940年代/1960年代

誕生の背景

LGシリーズは1940年代に本格展開され、1960年代にはその流れを受け継ぐB-25が登場しました。

DESIGN

構造と音の個性

抱えやすい小型ボディが共通点です。LG-1のラダーブレーシングによる乾いた響き、LG-2のXブレーシングによる立体的な鳴りなど、仕様ごとに個性があります。

LEGACY

受け継がれる魅力

繊細なタッチに反応しやすく、日常で自然に手に取れるGibsonとして愛されています。

LG-2からB-25へ小さなGibsonに刻まれた時代の変化

1942

始まりはLG-2 ― 小型でも本格的なXブレーシング

LG-2は1942年、戦時期のGibsonから登場した小型フラットトップです。幅約14 1/8インチの抱えやすいボディにスプルーストップ、マホガニーのサイド&バック、そしてXブレーシングを採用。兄弟機のLG-1が後年ラダーブレーシングを採ったのに対し、LG-2は小型でも立体感のある鳴りを狙ったモデルとして長く支持されました。

大きなJ-45ほど低音を押し出さず、反応が速く、声の近くでまとまりやすい。この「小さなGibson」の考え方が、のちのB-25へ受け継がれていきます。

1962

LG-2からB-25へ ― 名前と装いが60年代へ変わる

1962年頃、LG-2の流れを引き継ぐモデルとしてB-25が登場します。基本となる小型ボディ、スプルーストップ、マホガニーのサイド&バック、Xブレーシングという骨格はLG-2と近く、完全な新設計というより「LG-2系を1960年代のGibsonとして再構成したモデル」と見ると分かりやすいでしょう。

代表的な整理では、サンバースト系がB-25、ナチュラル仕上げがB-25N。外観も50年代までの素朴なLGから、60年代らしい大きなピックガードやアジャスタブル・ブリッジを備えた姿へ変わっていきます。

COLOR

サンバースト、チェリー、ナチュラル ― 色で時代の空気が見える

LG-2では戦時期から50年代にかけて、茶系からアンバーへ抜ける伝統的なサンバーストが象徴的でした。B-25になると60年代のGibsonらしく赤味の強いチェリー・サンバーストが目立つようになり、ナチュラルのB-25Nと並んで印象を大きく変えます。

ただしヴィンテージでは塗料の褪色も大きく、同じチェリー系でも赤が強く残る個体、茶色く落ち着いた個体、ほとんどアンバーのように見える個体があります。現在見えている色だけで年式を断定せず、シリアル、構造、パーツと合わせて見ることが重要です。

PICKGUARD

スモールからラージへ ― トップの表情も音の感じ方も変わる

初期のLG-2や初期B-25では比較的小ぶりなピックガードが見られますが、60年代中盤には面積の大きいラージ・ピックガードがB-25の象徴的な姿になります。見た目の変化は非常に大きく、同じ14インチ級のボディでも印象がまるで違います。

大きなピックガードはトップへ加わる質量と拘束面積も増えるため、理屈の上ではトップの振動や減衰へ影響し得ます。ただし「ラージだから鳴らない」と決めつけることはできません。ブレーシング、トップの厚み、サドル、接着状態、経年変化まで含めた結果として、60年代B-25特有の硬質で歯切れの良い個体が生まれています。

ピックガードと鳴りについて詳しく見る →

ADJ

アジャスタブル・サドル便利さが“60s Gibsonの音”になった

B-25ではアジャスタブル・サドルを備えた個体が多く、固定サドルとは違う振動伝達が音の性格にも関わります。セラミックやローズウッドなどサドル材にも違いがあり、交換されている個体も少なくありません。

一般に、ADJ期のGibsonには立ち上がりの速さ、少し乾いた硬質さ、ストロークでのパーカッシブな反応を感じる個体があります。これは欠点ではなく、フォークや歌伴奏でコードを刻んだ時に独特の存在感を生む、ヴィンテージGibsonらしい一つのキャラクターです。

1965–

ナローネック化は70年からではない60年代半ばが大きな境目

B-25の年代差で特に演奏感へ影響するのがネック幅です。初期には比較的ゆとりのあるネックが見られますが、Gibson全体の流れと同じく1965〜66年頃からナット幅が狭いナローネックが増えていきます。約1 5/8インチ、さらに細い個体では1 9/16インチ前後とされる例もあります。

そのため「70年代B-25=ナローネック」と理解するより、60年代半ばからすでに細身化が始まり、70年前後の個体ではそれが当たり前になっていく、と捉える方が実物に近いです。握った瞬間の違いが大きいため、B-25では年式だけでなく実測のナット幅を確認したいポイントです。

1968–70

再びスモールガードへ ― 過渡期の個体がおもしろい

60年代後半から70年前後には、B-25の外観にも再び変化が現れます。大きなピックガード一辺倒ではなく、小型のピックガードを持つ個体も見られ、ヘッド、ロゴ、ブリッジ、ネック構造なども含めて仕様が揺れる過渡期へ入ります。

この時期のB-25は、初期LG-2のような古典的な姿とも、60年代中盤の典型的なラージガードB-25とも違います。細いネックと小型ガードが同居する個体など、「この年式だからこの仕様」と簡単に割り切れないこと自体が魅力です。

1970s

70年代へ ― ネック構造、ブレーシング、B-25 Deluxe

70年代に入ると、Gibsonアコースティック全体が仕様変更の多い時代を迎えます。B-25系でも3ピース・ネックをはじめとする構造上の変化が見られ、やがてB-25 Deluxeなど、従来の60年代型とは性格の違う派生へつながっていきます。

ここまで来ると、1940〜50年代LG-2と70年代B-25を「ほぼ同じ小型Gibson」と扱うことはできません。サイズ感は受け継ぎながら、ネック、トップ周辺の質量、ブリッジ、ブレーシングなどの組み合わせが変わり、弾き心地も音も時代ごとの個性を持ちます。

SOUND

LG-2、初期B-25、ナロー期 ― 音はどう変わるのか

傾向として、LG-2や初期B-25には小型ボディらしい速い反応に加え、Xブレーシングによる箱鳴りと丸みを感じる個体があります。60年代中盤以降になると、アジャスタブル・サドル、大型ピックガード、細いネックなど複数の要素が重なり、より乾いたアタック、弦の輪郭、硬質なコード感を持つ個体が現れます。

一方、70年前後のスモールガード個体が必ず柔らかく鳴るわけでもありません。ヴィンテージGibsonはトップ材、ブレーシングの削り、接着、経年状態、過去の修理など個体差が大きく、最後は一本ずつ音を聴く必要があります。B-25は、その「年代差」と「個体差」の両方を楽しめるモデルです。

WHY B-25?

小さいからこそ、歌のすぐそばで鳴る

B-25は、J-45のような大きな低音やSJ-200のスケール感を競うギターではありません。抱えやすく、反応が速く、強く弾けば乾いて前へ出る。軽く弾けば箱の響きが近い距離で返ってくる。その“近さ”が魅力です。

そして、LG-2の系譜を持ちながら60年代のGibsonらしい大胆な仕様変更を経験したことで、同じB-25でも年代によって性格が大きく違います。ヴィンテージを「古いから良い」で終わらせず、どの時代の音が自分に合うかを探す。その入口として、とても面白い一本です。

主な参考資料

販売中のギターを見る← Gibsonの歴史へ戻る