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Advanced Jumbo

PREWAR POWERHOUSE

1936年

誕生の背景

1936年に登場した戦前Gibsonを代表する大型フラットトップです。生産期間が短く、オリジナルは希少な存在です。

DESIGN

構造と音の個性

ロングスケールとローズウッドのサイド&バックにより、力強さと広がりを備えた鳴りを持ちます。

LEGACY

受け継がれる魅力

後年の復刻モデルにも受け継がれ、Gibsonの戦前設計を語るうえで欠かせない一本です。

わずかな生産期間から現代の名器へ ― Advanced Jumboの軌跡

1936

世界恐慌の時代に生まれた“Advanced”

Advanced Jumboは1936年、Gibsonがより大きな音量、投射力、低域を求めて展開した“advanced”シリーズの一員として登場しました。16インチ級のラウンドショルダーにローズウッドのサイド&バック、スプルーストップ、25.5インチのロングスケールを組み合わせた、当時として非常に力強い設計です。

J-45より前に、Gibsonが「ローズウッド+ロングスケール+ラウンドショルダー」で大型フラットトップの可能性を追ったモデル、と考えると位置づけが分かりやすくなります。

1936–39

短命だったからこそ、オリジナルは特別な存在になった

オリジナルのAdvanced Jumboは1930年代末までのごく短い期間しか生産されませんでした。Gibson自身も少量生産だったことを認めており、現在では戦前Gibsonを代表する希少モデルとして高い評価を受けています。

短命だった理由を単純に“人気がなかったから”と片づけるより、当時の経済状況、価格帯、Gibsonの大型モデル展開が急速に変化していた時代背景の中で見る方が自然です。その後SJ-100やSJ-200など別の大型モデルが主役になっていきました。

1990

半世紀を経て復活 ― “幻のGibson”が再び弾けるようになる

戦前オリジナルの評価が高まる中、Advanced Jumboは1990年に復刻され、再びプレイヤーが現実的に手にできるモデルとなりました。以降、通常ライン、Historic系、Custom Shopなど形を変えながら復刻が続きます。

この復活によってAdvanced Jumboは「コレクターしか知らない戦前の希少機」から、「J-45とは違うGibsonの音を求めるプレイヤーが選べる一本」へと立場を変えました。

TODAY

OriginalとCustomが示す、現在のAdvanced Jumbo

現代のAdvanced Jumbo Originalは、ローズウッドのラウンドショルダー、25.5インチ・スケール、スキャロップドXブレーシングという核を受け継ぎながら、現代的なネック形状やピックアップを備えています。

一方Gibson Customの1936 Advanced Jumboは、サーマリー・エイジドのレッド・スプルース、ハイドグルー、当時を意識したネックやブリッジなど、戦前仕様の再現を強く意識しています。2026年にはGibsonフラットトップ100周年記念モデルにもAdvanced Jumboが選ばれており、現在では“隠れた名機”ではなく、Gibson史の重要モデルとして明確に再評価されています。

COMPARE

J-45、Martin D-28、SJ-200と比較すると

比較Advanced JumboJ-45Martin D-28SJ-200
ボディラウンドショルダーラウンドショルダースクエアなドレッドノートスーパージャンボ
S&Bローズウッドマホガニーローズウッドメイプル
スケール25.5インチショートロングロング系
音の傾向深い低域、強い投射力、明瞭な高域太い中域、乾いたまとまり広いレンジ、豊かな倍音と分離大きな空気感、明るく歯切れの良い輪郭
キャラクターGibsonらしさとローズウッドのレンジ感歌伴奏の王道ローズウッド・ドレッドノートの基準大型ボディの華やかな存在感

※Advanced JumboとD-28は材構成やロングスケールに共通点がありますが、ボディ形状、ブレーシング、構造が異なるため同じ音ではありません。

ARTISTS

Mark Knopfler、Jorma Kaukonen、James Maddock

Mark Knopflerは1938年製Advanced Jumboを所有し、ソロ作品のレコーディングで使用したことで知られています。繊細なフィンガースタイルでも音が痩せず、低域から高域まで輪郭を保つAJの長所が分かりやすい使用例です。

Jorma Kaukonenは1997年製の1936 Advanced Jumbo reissueを愛用し、アルバム『Blue Country Heart』ではその一本を中心に完全アコースティックで録音したことを本人が語っています。普段はショートスケールを好む彼が、このAJだけは特別に気に入ったという話もモデルの個性を物語ります。

James MaddockもAdvanced Jumboを長く使用するシンガーソングライター。本人の回想では、ロンドンの楽器店で初めて弾いた瞬間に惚れ込み、最初の本格的なプロ用アコースティックとして購入したとされています。

WHY AJ?

J-45では足りない、ではなく“別のGibson”を求める人へ

Advanced JumboはJ-45の上位版ではありません。マホガニーのショートスケールで中域をまとめるJ-45に対して、AJはローズウッドとロングスケールで、低域の深さ、音量、遠くへ飛ぶ力、そして高域の明瞭さを伸ばした別の設計です。

それでもラウンドショルダーのボディにはGibsonらしい粘りやまとまりが残る。Martin系ローズウッド・ドレッドノートともJ-45とも違う、その中間ではなく“第三の答え”のような存在。それがAdvanced Jumboの面白さです。

主な参考資料

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